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いつか戻れると 信じていた。 この状況が長くないと 信じていた ううん、正確には信じたかった。 07 火花 わくわくした。 血がすみずみまで行き届くような、そんな感覚にすらなった。 ダークさんは、私が女だからか、手加減していた。 最期の方こそ、本気がチラついたけれど、 前半なんて、子供と遊ぶ大人のように、 ぬるい型で挑んで来た。 自分よりも強いであろう人物が目の前にいるのに、 手を合わせないなんて、勿体ない。 こんな気持ちは久しぶりだった。 黒船では、もう泉くらいしか相手にしてくれなくて、 泉ですら忙しかったから、相手に慣れてしまっていた。 久しぶりの新しい獲物への感触に胸が踊る。 「どうします?」 「放っておけばいいさ。」 そう言ったのっぽのおじさんはにこやかに笑っていたけれど、 目は鋭く冷たかった。 「初めまして、お嬢さん。私は騎士軍指揮官のシアンです。」 骨張った手には、いくつもの刀傷があった。 「はじめまして。サチです。」 おじぎをした所で、私はこの機会を逃すまいと言葉を続ける。 「あの・・・私を騎士軍に入れては下さいませんか」 衰えたくない。 もし・・・明日目覚めて、また黒船に戻れた時に いつでも即戦力になれるように、この体を鍛え続けていたいんだ。 そうしてないと、 ずっと此処にいて、帰れないかもしれないという恐怖から逃れられない。 私の居場所は、産まれてからずっと黒船だけだ。 「そうだね・・・・検討しておくよ」 「それは困りますよ、シアン指揮官」 私とシアンさんに睨まれたビートさんは、苦笑していた。 「彼女は救世主なんです。戦場で闘って貰うのが勤めではありませんよ」 「いや、しかし次期国王。このお嬢さんはいいものを持っていらしている」 次期国王? 私とそんなに年も離れていないだろうビートさんが、この国の次期国王とは、 見た目ではわからなかった。 存在感はあるけれど・・・・上に立つ者というよりかは、 ダークさんの同僚という雰囲気だった。 「勿体ないですよ」 そう言って貰えることが嬉しかった。 長はもちろん、泉も誰だって簡単には褒めてくれないし、 恨まれることは多々あっても、こうやって素直に評価してもらえることは少なかった。 「しかし・・・」 「国王に掛け合ってみましょう。決定権は国王にある。」 口ごもるビートさんに、シアンさんは空気を裂く様にキッパリと言い放った。 騎士軍指揮官というのが、どういう地位にあたるのかはしらないけれど、 ビートさんとシアンさんの間は、そういうの抜きに、何かありそうだった。 「ありがとうございます」 そう言って頭を上げると、にこにこと笑うシアンさんがいた。 今までの経験上、こういう人に限ってやっかいだ。 やっかいっていうのは、キレ者だということ。 泉がどちらかというとこういうタイプだ。 笑いながら、平気で悪どいことをする。 「シアン指揮官。申し訳ないですが、彼女は今から国王との謁見がありますので」 「それは丁度いい。私も出席させて貰おう」 「何故です?」 「遅かれ速かれ、彼女の騎士軍入隊についてご相談しなければならないからね」 「今でなくても結構でしょう」 「今ではいけない理由もないでしょう?」 そう言ってにこにこ笑い合ってる二人の間には、見えない火花が散っているようにも見えた。 「あ・・・あの」 その二人の間に入ってきたのは、先ほどの侍女だった。 「国王様が首を長くしてお待ちかねでございます。」 そう言った侍女はネコに睨まれてたネズミみたいに怯えていた。 BACK * NEXT |